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ルームシェア:成長市場・新ビジネスモデルレポート

2010 年 2 月 24 日 6:00 PM

~ルームシェア、ハウスシェア、ゲストハウス市場~

■ 賃貸住宅市場の変化
 晩婚化のトレンドや高齢世帯増加の影響により、国内の単身世帯数は近年ますます増加している。不景気の継続によって地方との経済格差も広がり、仕事を求めて人口が首都圏へいっそう集中している。
単身世帯は持家より賃貸住宅への需要が強く、これまで都心近郊では20代をターゲットとした一人暮らし向けのアパートやマンションが数多く建設されてきた。ただし一部の自治体では、将来の少子化対策や高齢者住宅を増やすため「ワンルームマンション規制」と称される総量抑制を実施している。よって新築賃貸住宅の供給スピードは、近年の建築基準の厳格化も重なり減速傾向にある。
 一方で2008年の世界同時不況によって、都心の高級マンションのターゲットであった多くの外資系ビジネスマンが退去してしまった。マンションオーナーは新しい入居者を見つける必要があるが、家賃を少し下げただけでは簡単には入居付けできない。特に過去の都内のマンション投資ブーム時、銀行借入で物件購入をしたサラリーマン大家と呼ばれるオーナーは、返済資金のやりくりに現在非常に苦心している。

■ ルームシェアのユーザー層
 そこで都心に近い地の利を活かし、新しい入居者としてターゲットとしているのがルームシェアを希望する学生や社会人である。オーナーが3LDKマンションをこれまで仮に月15万円で貸していた場合、3名へ各6万円の家賃回収を行うことで月合計18万円の収入を得ることができる。回収リスクや空室リスクが3名に分散されることも一部メリットになる。ルームシェア入居者(シェアメイト)は、自分達で一定のルールを作り、キッチンや浴槽、トイレ、洗濯機といった設備を共有して生活する。
 シェアメイトは既知の友人、そもそも全く面識がないなど様々なケースがあり、男女混合でのルームシェア事例も多数ある。学生同士、社会人同士、また学生と社会人の組み合わせなど、職業による境界はなく、年齢も10代~30代と幅が広い。また、外国人との共同生活も多い。シェアメイトとなるきっかけは、学校や会社の同僚及び先輩後輩の関係、友人の紹介、インターネットでの募集による新しい出会いなど、多種多用な形態がある。

■ リアルコミュニケーションの渇望
 ルームシェア希望者が増えている要因は、出口が見えない不景気の中で第一に家賃負担が軽減するという経済的メリットが大きい。また、晩婚化の影響によってこれまで実家から通勤していた女性が一人暮らしを始めた場合、これまでと同様の可処分所得を維持したい場合はルームシェアを希望するといったパターンもある。防犯上も一人暮らし用の旧型の木造アパートより、複数名でセキュリティ性の高い最新の鉄筋マンションに住む方が安心感がある。通勤も職場近くの駅から通えるため便利になる。
 入居者の中には、シェアメイトと「ゆるくつながっている」ことに価値を見出している場合も多い。現在のストレス社会では、家に帰るといつでも悩みを聞いてくれる同居人がいることはメンタル面でプラスになる。特に一人っ子の環境でこれまで育ち、兄弟や友達とのリアルなコミュニケーション経験が乏しく、オンラインゲームやWEB掲示板、SNSでヴァーチャルな会話を心の拠りどころとしていた世代は、ルームシェアという共同生活を通して今後はリアルに仲間と関わっていくことができる。「THEルームシェアという生活。(開発:株式会社ディースリー・パブリッシャー)」という家庭用ゲーム機用ソフトまでも既に発売されている。
 また、海外からの留学生の増加もルームシェア市場の成長を後押ししている。国内の総合大学の多くが少子化による定員割れ問題に対処するため、特にアジアからの留学生を積極的に受け入れている。ただし賃貸住宅のオーナー側から見ると、外国人については保証人の問題や入居期間が短いことを気にして、審査が通りにくい場合があった。そこで外国人同士がルームシェアの形態で複数名が相互保証をすることによって、あるいは外国人との共同生活を志向する日本人を共同のシェアメイトとすることによって、信用補完をしてルームシェアの住宅を見つけている。

■ 各ベンチャー企業のルームシェア・ビジネスモデル

<ケース1.女性専用シェアハウス、チューリップ不動産株式会社>
 チューリップ不動産株式会社が管理するシェアハウスでは、都心の駅からほどよく近い場所にある女性専用物件を中心に展開している。複数名と共同で住むことによって防犯上のセキュリティを高めるとともに、「都心の中心に住み夢を追う女性を支援する」というコンセプトを提唱している。個室だけではなくさらに家賃が安い相部屋(ドミトリー)の設置や、シェアメイト同士のコミュニケーションの活性化を目的としたイベントの定期開催も行っている。夢に向かって上京しても、一緒に語り合う友達を新しい地で見つけることはすぐには難しいが、同年代の同姓と一緒に励ましあいながら共同生活できるため、新しい入居者にとって非常に魅力的に映る。

<ケース2.語学サービスとの組み合わせ>
 語学習得や異文化交流を目的として、外国人との共同生活を望む日本人のルームシェア希望者が多く存在する。海外に留学しなくても、国内で通常の生活を送りながらネイティブと日常会話ができることが大きい。株式会社シェアスタイルでは、語学習得の手段の一つとして外国人と一緒に住むことができるルームシェア物件を中心に紹介している。単に外国人と一緒に生活するだけでは体系的に語学を習得するのは難しいため、土日にシェアハウス内で定期的に語学レッスンを開催したり、またシェアハウス内での提携先のオンライン英会話サービスの利用促進を行っている。

サービス名 事業主体 ビジネスモデル
チューリップ不動産 チューリップ不動産株式会社 女性専用シェアハウスを運営、都心に近い物件多い。コミュニティを重視し、シェアメイト向けの定期イベントも開催。
Global Share Global Share株式会社 ルームシェア物件の紹介及び仲介、管理運営、リフォームや投資用としての物件売買仲介も行う。
シェアノサイト 株式会社シー・ザ・シ- ルームシェア物件の紹介やコラム、体験談を掲載したポータルサイト「シェアノサイト」を運営。
ゲストハウスLuca 株式会社ランドコミュニティ 管理運用を全て自社スタッフが代行運営を行い、シェアメイト間のルール設定や家賃回収、共用説部のメンテナンスなどを全て代行する。
ひつじ不動産 株式会社ひつじインキュベーション・スクエア ルームシェアの物件紹介や情報を集めたポータルサイトを運営。自社スタッフによる訪問と写真撮影を前提として掲載する。ルームシェアビギナーのためのコンテンツを多数掲載。
東京ガールズ不動産、東京コマドリ ヴィーナスキャピタル株式会社 女性専用のルームシェア物件の紹介及び運営、女性用のビビッドなデザインリフォームをして魅力的なシェアハウスに仕上げる。
ARDEN English Community 株式会社シェアスタイル 「シェアハウス国内留学」というコンセプトで、語学とルームシェア生活のダブルサービスを提案。シェアハウス内でのレッスンやオンライン英会話などを有料サービス提供。
BeGood Japan 株式会社BeGood Japan 日本語学校の留学生とのルームシェア紹介を行う。家具や家電も付属。
ソーシャルアパートメント 株式会社グローバルエージェンツ 「ソーシャルアパートメント」という新しい住宅事業を開始

■ ベンチャー企業がビジネスを進める上での課題
 手持ちのルームシェア物件数がそのままKPI(key performance indicator)となるようなビジネスモデルであれば、まずはルームシェア物件になり得る空き物件の情報を早く掴むことが最も重要な強みとなる。入居者の集客については、ITリテラシーが高いユーザーが多いので、WEBマーケティング等で良質な物件情報を告知し集客を効率的に行うことが考えられる。
 競合企業との差別化をするには、入居者の属性に合わせた付加サービスを提供していくことも必要になる。独身女性向けの結婚紹介サービス、求職者向け職業紹介サービス、子育て専用シェアハウスなどのサービスは、既に海外では類似のものが提供されている。シェアハウスでのホームパーティーのようなイベントを定期的に主催し、シェアメイト同士のコミュニケーションを強化することで、入居者同士のトラブル防止や入居継続率を向上させる仕組みも導入していく。
 ルームシェア物件用のプラットフォームについては、国内市場にはまだあまり存在していない。ルームシェア利用者はITリテラシーが高い特徴があるので、グループウェアによる共用設備予約やイベントなどのスケジュール予約、入居者同士のSNS、家賃及び公共料金の決済代行やシェアメイト共同利用銀行口座サービス、保証代行サービスなど、ITと金融を組み合わせたサービスも将来的には必要とされる可能性がある。

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