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3D Webビジネス(注文住宅、インテリア):成長市場・新ビジネスモデルレポート

2010 年 3 月 2 日 8:56 AM

大容量メモリ搭載のパソコンが広がる

 ネットブックやスマートフォン、タッチパネル式電子ブックなど、新しいWebクライアントデバイスの市場投入が増えている。携帯キャリアによる3.5Gのインフラ整備により、モバイルブロードバンドが一般的に認知されるようになってきた。
 一方、これまでのパソコンによるWebアクセスは、大きい画面による確認やハイスペックな処理が可能であり、モバイルブロードバンドとは異なった役割でより重要になっている。パソコンメーカー各社がWindows Vistaでのクレームに対応するため緊急的にメモリを増強した機種を発売したため、最新版のパソコンは最低でもメモリ1ギガバイト以上、通常は2ギガバイトが搭載されるようになってきた。
 Webブラウザでの3D技術を取り巻く環境も、近年は目覚しく進化している。Googleは3Dブラウザプラグイン「O3D」を2009年4月に公開している。The Khronos Group(APIを策定するコンソーシアム)は、OpenGLとJavaScriptを結びつけたWebブラウザ向け3D標準規格「WebGL」を2010年中に策定する見通しを立てている。これまでは無料提供とはいえソフトウェアをインターネット上からダウンロードする必要があり、セキュリティ面のリスクや初心者には敷居が高かったが、インストールがないWEBブラウザ上で3Dコンテンツをユーザー自身で自由に作成し動かすことができれば、自宅のパソコンで簡単にWeb上の3Dコンテンツを活用することができる。

注文住宅の集客施策

 これらのWebブラウザ上の3Dコンテンツについて、実際のビジネスにつなげる試みがスタートしている。例えばハウスメーカーや地元工務店は、注文住宅建設のニーズがある顧客に対し、営業ツールとして利用している。これまで注文住宅の営業といえば、ビラを撒いてモデルルームに潜在顧客を呼び込み、他社と過酷な競争をしながらコストをかけてお客を奪い合うというスタイルであった。近年の景気後退の中では、ライバル各社との競争にいっそう拍車がかかり、プロモーション合戦、値引き合戦の状況となっている。
 その中でネット住宅という商品も登場している。実際にECで住宅を購入するのでなく、営業マンとのやり取りについて、施行直前まで自動応答型のWebサイトで法令調査や顧客の希望を検証し、削減できた営業マンの工数を低価格に反映させた仕組みを取っている。
 最近では、Webブラウザ内で家の間取りをユーザー自身で作成可能なツールが無料で出始めている。作成した間取りはWebブラウザ内で簡単に3D化ができ、壁の色やインテリアなども多くの種類から選択できるため、ユーザー主導でかなり具体的な家の完成イメージを作れるようになった。ユーザーはこれらのツールでハウスメーカーや工務店とイメージ共有をしたり、相見積もりの取得ができる。営業側は間取りを集めたWebコミュニティへ対して、新規の候補客へアプローチできるという新しい営業手法も生まれている。

インテリアのEC

 インテリアのECも、Webブラウザの3Dコンテンツを活用したビジネスの新しい事例である。ソファーやベッド、テーブル等のサイズが大きくて高額なものについては、消費者心理としてECでの購入はためらいがある。サイト内に寸法の明記や写真掲載はされているものもあるが、実際に部屋の質感と合うかどうか、カラーマッチングなど通常のECサイトに書かれているような商品情報では不足している場合が多い。
 都内のインテリア専門店舗では、コンシェルジェがCADソフトを利用してその場で顧客の間取りを作りながら、インテリアの配置シュミレーションをするサービスを行っている。この方法ではコンシャルジェの人件費が加算されるため、インターネットビジネスのような急成長モデルを狙うのは難しいが、間取り作成ツールとその商品の3DパーツをWeb上に置いておけば、ユーザー自身で間取りを作成し、インテリアを配置して購入を検討するような使い方ができる。サイズが大きいインテリアの返品作業はなかなか大変であるが、このようなツールを使うと商品がイメージ通りかどうか事前に試すことができる。

ベンチャー企業のケーススタディ

<ケース1.Floorplanner>
 オランダで開発された「Floorplanner」は間取り作成オンラインツールで、登録すれば無料で利用できる。Webブラウザ内で全ての機能が利用でき、公開機能を使って家族や知人と共有することもできる。日本語にも既に対応している。ドア、窓、ソファー、机等の基本なデジタルパーツの他、観葉植物、ゲーム機、クリスマスツリーのような季節性のある家具類まで用意されている。インテリアを配置したまま部屋の3D化が可能である。有料サービスを申し込めば、6つ以上の間取り図を作成したり、商業目的の利用ができる。

<ケース2.mydeco>
 英国発のインテリアSNSサービスmydecoは、ビジネスモデルはインテリア小売店のECショッピングモールである。ユーザー自身がWebブラウザ上で作成した部屋の間取りに合わせて、購入検討中のインテリアのデジタルパーツを配置する。またそのイメージは「カメラ」を動かすことで、部屋のどこからでも360°の視点で配置をシュミレーションすることができる。インテリアのデジタルパーツはインテリアメーカーや小売店から提供されている実際のサイズ及びデザインなので、ユーザーは購入前にかなり正確に実物をイメージできる。SNSで他のユーザーとウェブ上で意見交換もできる。

サービス名 事業主体 内容
まどりむ 株式会社シップ Webブラウザ上の間取り作成ツールより、ハウスメーカーや工務店とユーザーとのマッチングを支援。
PowerSketch、ROSE 株式会社 マジックアワー 3D間取り作成ツールをソフトウェアとしてライセンス販売。
まどりーむ 株式会社ケイ・アイ・テック 間取り図のコミュニティサイト「まどりーむ」を開発、運営。
3D間取り 株式会社アパマンショップネットワーク 3D間取りで物件を選定、家具の配置やウォークスルーが可能。
Sweet Home 3D eTeks 3Dグラフィックスで間取り作成及びインテリアの配置が確認できる。ウォークスルー機能有り。開発者向けAPIを提供。
Floorplanner Floorplanner.com BV 個人は無料、商業目的の利用は有料となる高機能の3D間取りWEBツール。オランダの会社の開発陣がリリース。
Project Dragonfly Autodesk, Inc CADソフト「AutoCAD」のオンライン無料版。TwitterやFacebookと連携し、コミュニティ機能を有している。
Planningwiz Planningwiz インテリア計画支援ツール。2Dが主体。
mydeco mydeco インテリアのECショッピングモール運営。特徴的な機能として、部屋の作成と家具の配置後、3Dカメラの設置よりどの角度、位置からもシュミレーションイメージが確認できる。

ベンチャー企業がビジネスを進める上での課題
 フットワークの軽いベンチャーが取ることができる戦略としては、初期に大きなシステムを作り上げてしまうのでなく、将来の技術的進化やハードウェアの進化を前提として、柔軟性や拡張性、スピード性を持った開発をしていくことがあげられる。
 ビジネスモデルとしては、先行事例として上記のようなハウスメーカー、工務店向けの集客ツールが存在する。アクセス数の多い間取りコミュニティのようなサイトを提供することができれば、ハウスメーカーや工務店はモデルルームや競合排除のためにかける予算を削減できるかも知れない。また、mydecoのように、現在の大手企業のECモールでは十分に提供できていない高額インテリアのECを狙うことも考えられる。特に日本では、海外と比較して部屋が狭小であるため、潜在的な市場が残されている可能性がある。

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